整理:記号

  たとえば幾何学の定理とその証明を学び自分で行えるようにし、さらに複数の定理の間になりたつ関係を整理することは、自己の抱く観念を過不足なく言語に対応させて他者に説明する、よい練習になる。
  ただし自己の有する観念を、他者もまた有しているとは限らないから、仮に自己の観念を過不足ない表現で説明したとしても、他者が理解するとは限らない。

  また言語に対応する観念を得やすさの観点から考えると、幾何学的図形は他者との共有が比較的容易であるという意味で普遍的であるのに対し、たとえば「人生経験」に対応する観念は共有が比較的困難である。「人生経験」に対応する観念の共有の困難は、自己と他者との間についてのみなりたつ性質ではなく、自己においても、時間の変化によって共有の困難が生ずることもある。

 

 

***

個体において生ずること:

"外"的刺激→(抽象的対応)→観念←(対応)→記号

内観は実は外観である。
意識にのぼることがらは全て「自己」の「外」にある(ものとする)。
外的刺激は、種類によって、共有の困難の度合いが異なる。共有が容易であればあるほどその刺激は「普遍性」「再現性」が高く、共有が困難であればあるほどその刺激は「特殊性」「一回性」が高い。

 

  普遍性や再現性の高い刺激ほど、それに対応する観念と記号との対応関係の学習が強度になるので、記号から観念を再現しやすい。